足のむくみと下肢静脈瘤|本厚木駅徒歩1分の血管外科クリニック本厚木
動脈であれば心臓がポンプの役割を果たして血管を全身に送り出していますが、静脈は弁と周りの筋肉によって血管が逆流しないようにコントロールしています。
下肢静脈瘤とは、足の静脈の弁が正常に機能しなくなることで血液が逆流し、静脈が拡張した状態で蛇行した結果、足の血管がボコボコと浮き上がったように見える疾患です。
下肢静脈瘤は良性の疾患のため、命に関わる病気ではありませんが、自然に治ることはなく、放置していると徐々に症状が悪化する傾向があります。下肢静脈瘤が悪化すると、静脈うっ滞によって皮膚に栄養障害が起こり、湿疹や皮膚炎、色素沈着を引き起こす可能性があります。
症状が最も進行した場合は、皮膚が硬化し(脂肪皮膚硬化)、足に難治性の潰瘍ができる「うっ滞性皮膚潰瘍」を発症する恐れがあり、軟膏治療のみでは治らない状態となり、治療にも時間がかかります。
また、血液は停滞すると血栓を作りやすくなるため、ときどき、瘤の部分で血栓をつくり、赤く腫れて、硬くなり、痛みを生じる場合があります。血栓性静脈炎と呼ばれる状態です。



静脈瘤が足に起こりやすい理由は、立っている状態の時に重力に逆らって心臓へと血管を送り出す必要があり、弁やふくらはぎの筋肉の機能が低下した際、重力の影響を大きく受けてしまうためです。
下肢静脈瘤は、成人している日本人のうち10人に1人の割合が罹患していると言われており、年齢が高くなると筋肉や弁も衰えるため、高齢の方ほど発症しやすい疾患です。また、妊娠時の腹圧の上昇やホルモンの影響による静脈壁の軟化などの影響もあり、男性よりも女性のほうが発症しやすいことも明らかになっています。
他にも、美容師や調理師、レジ業務など、立ち仕事をしている方も発症しやすいとされています。一日に9~10時間以上、あまり動かずに立っている時間がある場合は、下肢静脈瘤が重症化しやすく、注意が必要です。その他、家族性の要因もあり、両親が静脈瘤をもっている場合は、90%の確率で子に遺伝、片親が静脈瘤の場合、女性に62%、男性に25%の確率で遺伝するというデータもあります。
下肢静脈瘤は、足の表面に蛇行した青い血管が浮き出ることや、瘤(こぶ)のような隆起が見られることが代表的な症状ですが、「むくみ」が起こることも大きな特徴です。
むくみとは、静脈の圧が高くなることで、血管から漏れ出る水分(組織間液)の量が増加し、余分な水分が皮膚の下に溜まった状態のことを指します。

むくみの主な症状としては、靴下の跡が足に残ることや、足のすねを押すと皮膚が引っ込んだまま戻らない、足が重くだるさを感じる、等があります。
自身でできるむくみの確認方法として、すねの骨の部分を強めに5秒程度押して、しばらくしても押した部分がへこんだままになっている状態であれば、むくみと診断されます。
むくみの原因として、下肢静脈瘤の他、深部静脈血栓症、リンパ浮腫、心臓や腎臓、肝臓の障害などの内科的な要因、栄養状態、肥満、日常動作レベル(ADL)の低下、長時間の立ち仕事など、様々な要因で起こりますが、下肢静脈瘤によってむくみが起こっている場合は、手術によって治療を行わない限り、症状が自然に治癒することはありません。足がだるく、むくみが続いている、左右差がある、色素沈着などの皮膚症状がある、こむら返りと呼ばれる足のつりなどの症状がある場合は、下肢静脈瘤を疑い、検査を受けることを推奨しております。
また、夕方だけでなく、朝起きたときに既にむくみがある、足だけでなく手や全身にもむくみがみられる、少し動いただけでも息切れがするなどの場合は、心臓、腎臓、肝臓などに大きな病気が起こっている可能性があるため、内科での精密検査を早急に行うようにしましょう。
下肢静脈瘤の治療は、外科の中でも血管外科が専門です。血管外科医は、長年下肢静脈瘤を専門としており、豊富な治療実績があり、診断や治療、創傷の管理まで精通しております。血管外科クリニック本厚木では、下肢静脈瘤に対し、患者の皆様一人ひとりの症状に合わせて主に下記のような治療を行っております。

血管内焼却術
血管内焼却術は2011年に日本で保険適用になった治療方法です。超音波を見ながら、弁不全のある大伏在静脈もしくはふくらはぎの裏を通っている小伏在静脈をカテーテルで焼却して閉塞させる治療方法です。
カテーテルを挿入し、静脈の周りを麻酔した上で、高周波もしくはレーザーを出して血管の中を焼いていく手術となります。手術によって焼却した血管が塞がることで血液の逆流を防ぎ、症状が改善されます。

血管内塞栓術(グルー治療)
血管内塞栓術(グルー治療)は2019年に保険適用となった、比較的新しい治療方法です。カテーテルを挿入し、弁不全のある大伏在静脈や小伏在静脈に医療用の接着剤(グルー)を注入することで、血管を閉塞させて逆流を止める治療方法です。
グルー治療はカテーテルを挿入する穿刺部の麻酔のみで手術を行うため、手術中の痛みが少なく、手術時間も短いことや、熱を使わないため、神経障害の合併症リスクがほぼないことが特徴です。
下肢静脈瘤は10人に1人が発症している疾患で、特に立ちっぱなしの職業の方が発症しやすい病気です。下肢静脈瘤になると、足の血管がボコボコ浮き出たり、足にむくみやだるさといった症状が起こります。
脚のむくみ・ぼこぼこなど、気になる症状がある方は、神奈川県本厚木市に開院した血管外科クリニック本厚木までお越しください。外科医としての約30年の経験を活かしながら、「優しい医療」を心掛けて診療を行っております。
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